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ダンク セキ株式会社

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関 武士さん
第1回 

デジタルとアナログを生かした「フォトブックサービス」。改革を支えたのは、思い切った設備投資でした。

アナログ製本の伝統、デジタル印刷の革新。 時代を見据えた改革で未来へ



ダンク セキ株式会社
関 武士代表取締役社長

長野市出身。大学卒業後、東京でIT機器メーカーに営業職で勤務。30歳でUターンし、父親が経営するダンク セキ株式会社に入社。2013年に社長就任。

家業の危機、「役に立ちたい」とUターン

家業の危機、「役に立ちたい」とUターン

スマホで撮影した写真も美しい印刷で残せるフォトブック。子どものアルバムやスポーツチームの記録など、1冊から気軽に作れる

家業の危機、「役に立ちたい」とUターン

工場内には最新のデジタル印刷機が並ぶ。デジタル分野は若手中心だが、製本事業ではベテランの職人の技術が生きる

 創業者夫妻が前身の「関製本所」を立ち上げたのは、戦後間もない1946年。わずか3坪からのスタートでした。それから74年、工場を含む2500坪の敷地で業務を行うまでに成長したダンク セキ。ルーツである製本業務では全国の出版社や印刷会社から依頼を受け、美しい本や冊子を送り出し続けています。
 一方で出版印刷業界の市場の縮小から、先代社長は「製本技術を生かしてIT分野に参入しよう」と決断。柱に据えたのが、2005年に立ち上げた「フォトブックサービス」でした。顧客がオンラインで写真を入稿して冊子を作れる独自サービスで、子どもの成長記録や結婚・卒業アルバム、ブログの書籍化など、小部数から手軽に作成できるのが魅力です。
 当時、東京でIT機器の販売企業に勤務していた現社長の関 武士さんは、父親である先代社長からフォトブック事業についてよく相談を受けていました。ところが急速な事業の多角化によってダンク セキの経営は悪化。関さんは次男ということもあって会社を継ぐつもりはなかったそうですが、先代の「なんとかしたい」という話を聞くうちに「自分にも何かできるんじゃないか」と思いが募り、退職してUターン。事業継承を前提にダンク セキに入社します。30歳、妻と子どもをつれての決断でした。
「会社が良くない状況だからこそ、何か力になれるはずだと思いました。実は昔から、跡を継ぐかとは別に『自分で事業をやってみたい』という思いもあったんです。ところが入社してみると経営状況は想像以上に厳しく、まさに火の車。まずはすべての数字を当たって、徹底的に赤字の原因を探るところから始めました」

最新のデジタル印刷と高い製本技術を融合させる

最新のデジタル印刷と高い製本技術を融合させる

2019年の台風19号では目の前の道路が冠水したが社屋は無事だった。社員総出で土嚢を摘むなど復旧作業に当たったという

最新のデジタル印刷と高い製本技術を融合させる

「デジタル機器は更新のスピードが大切。低金利の長野市の融資制度も使わせてもらい、とても助かりました」と関さん

 状況を整理した結果、赤字の原因はIT事業の急拡大による大規模な設備投資と、その一方で事業に合わせた人員の見直しを行わなかったことでした。そこで関さんは、業務と人材のスリム化を中心に改革をスタート。事業と設備の大幅な絞り込み、さらに役員総入れ替え、人材の再配置など、勇気ある改革を3年かけて実行します。先代社長は何も口出しせずにそれを見守り、「最後に俺をリストラしなさい」と自ら引退。関さんは入社5年後の2013年、代表の座を引き継ぎました。
 業務はウェブ制作などの下請け事業を減らし、自社事業であるフォトブックサービスへ設備と人材を集中させることに。ここで関さんは、大きな決断をします。
「当社は製本技術には自信がありますが、写真印刷はどうしても大手企業に勝てない。それが原因でフォトブックサービスは伸び悩んでいました。そこで思い切って、当社の看板だった製本ラインを撤去して写真用の高画質デジタル印刷機に入れ替えることを決めたんです。当時国内に数台しかない高価な機器だったので反対の声もありましたが、結果的に売上が大きく伸びた。当社の転機となった出来事でした」
 デジタルの力を最大限に発揮した美しい写真に、アナログ技術を生かした上質な製本。フォトブックの人気は上昇し、以前は売上の2割だったのが4割を占めるまでに。製本事業の売上を逆転し、ダンク セキの主幹事業となったのです。
「フォトブックに力を集中しようと思ったのも、祖父の代から培った製本技術がベースにあったからです。それがなければ、ここまで伸びることはなかったと思います」

設備投資が私たちの改革を支えてくれた

設備投資が私たちの改革を支えてくれた

印刷技術を生かして開発したオリジナル商品「十二面体カレンダー」。好きな写真をあしらうこともできる

設備投資が私たちの改革を支えてくれた

会社の転機となった写真用の高画質デジタル印刷機。購入は思い切った決断だったため、当時の銀行の担当者には反対されたそう

 製本事業も、これまで競合相手だった同業他社と得意分野を分担し合い協力する発想に転換。現在も安定した売上を築いています。こうした事業の見直しにより、2016年にはついに黒字転換。関さん入社から8年をかけた改革でした。
「改革の柱は、変化が早いデジタル設備への投資でした。信用保証協会さんの保証で融資を受け、デジタル印刷機購入や25年ぶりの全社空調入れ替えが実現したことが力になりました」  フォトブックサービスはほぼ100%オンラインで受け付けているため、注文は全国から寄せられます。一方で、今後は地元で顔の見えるお客様を対象にしたサービスも始めたいと考えているそう。
「終活を考えるお客様も増えていますし、個人の方の写真整理からサポートするサービスを考えています。アルバム作りで一番大変なのは編集作業なんですよね。そこを私たちがお手伝いできたら」
 2015年には、自社の製本技術を広く知ってもらうため手帳やノートなどオリジナル製品の販売をスタートしました。またIT分野で優秀な人材を確保するべく取り入れているのが、副業人材の活用。ヤフーなど都内の大手企業に勤務する人材の副業先として受け入れを行い、彼らのスキルを事業に活かす試みを始めています。
 14年前に改称した社名の由来は、ドイツ語で「感謝」を表す「ダンケシェ」。創業者の代から大切にしてきた感謝の心を引き継ぎ、時代に添ったサービスを生み出していきます。

オフィスに隣接した工場内は、融資で買い替えたエアコンで温度・湿度とも快適に整えられている

会社データ ダンク セキ株式会社
創業 昭和21年(個人開業)
事業内容 製本・印刷・WEB制作(フォトブック等販売)
住所 〒381-0012 長野県長野市柳原2550 TEL 026-295-2550
HP http://www.dank.ne.jp
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