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株式会社アコーズ

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佐々木邦雄さん
第2回 

歩数計・活動量計分野で確立した技術を元に、新分野を開拓。 保有特許13件、商標登録20件。知恵とアイデアで成長を続けます。

歩数計・活動量計のニッチな分野で光る 国内屈指の技術とアイデア



株式会社アコーズ
佐々木邦雄代表取締役

飯田市出身。平和時計製作所で生産管理や資材調達に携わった後、退職しアコーズを創業。趣味は「酒味」だが、自社の歩数計を使ったウォーキングで健康をキープ。

独自アルゴリズムで飯田から全国へ

独自アルゴリズムで飯田から全国へ

坂道や階段を登っていることも感知するもの、速歩をサポートするものなど、専門性の高いニッチな歩数計を数多く開発

独自アルゴリズムで飯田から全国へ

グループで健康管理できる自社開発システム「AWDS」。アコーズでは出社時に歩数計データをかざして読み込む仕組みで、社内コンペを行っている

 体の動きを感知して歩数や消費カロリーなどを計測する歩数計や活動量計。日本の製品は正確さの水準が高く、競争力があるメーカーは片手で数えられるほど。名だたる大手企業と名を連ねるのが、飯田市のアコーズです。
 代表の佐々木邦雄さんは、平和時計製作所勤務を経て1992年にアコーズを創業しました。前職の経験を生かした活動量計を主力に、大手メーカー商品を開発製造するOEM・ODMが事業の柱です。取引先には有名企業がずらり。ピーク時の2007年には、国内の歩数計・活動量計市場でアコーズ製品がシェア15%を占めるまでになりました。
 信頼される理由は、業界でも珍しい独自アルゴリズムを持つ高い技術力。10年以上前から松本大学人間健康学部・根本健一教授協力のもとアルゴリズム開発に取り組むほか新しい技術を開発し続け、現在は保有特許13件、商標登録20件にものぼります。OEMやODMでも、製造だけでなく開発、設計から携わる案件がほとんど。
「お客さんが新しいアイデアを持ってきてくれるんです。例えば『犬の歩数計を作ってほしい』『女性用に髪に付けられる小型活動量計ができないか』、そういったさまざまな要望が新しい技術の開発につながっています。ニッチな分野ということもあって、ありがたいことに自分たちから売り込んだ記憶はほとんどないんですよね」

時代を先取りした通信技術の導入

時代を先取りした通信技術の導入

佐々木さんが生まれ育った飯田市で創業。アルゴリズムに基づく高い計測技術を持つ企業は数少なく、大手メーカーからの信頼も厚い

時代を先取りした通信技術の導入

5年前から、自社の歩数計を使った朝4時スタートのウォーキングが日課。社内の活動量計コンペではいつも1位なのだそう

 アコーズがいち早く始めたのが、計測データをパソコンに転送し共有できる通信タイプの開発です。現在の活動量計では当たり前の機能ですが、アコーズは2009年に世界で初めて通信タイプの歩数計を開発。ところが当時はまだスマホが普及していなかったこともあり、企業に提案してもなかなか受け入れられなかったそう。
「時代に対して早すぎたんでしょうね(笑)。当時ソニーで開発された非接触型ICカード『FeliCa』を使ったんですが、ソニーからもらった認証番号は記念すべき001番でした。ソニーの担当者の方には、今でも気にかけていただいています」
 通信タイプが市場の主流となってからは依頼も増え、のちにソフトウェアの自社開発もスタート。専用アプリを使ったシステムを構築し、病院による患者の運動データ管理、自治体による住民の健康管理などに提供しています。

3年の歳月をかけた「リハビリ歩行計」

3年の歳月をかけた「リハビリ歩行計」

本社社屋の隣に開発センターがあり、技術社員による開発が行われている。製造拠点は中国に置く

3年の歳月をかけた「リハビリ歩行計」

「外国製の安い製品と競うのではなく、付加価値の高い製品で勝負したい」と佐々木さん

 そんな中、2000年代後半から歩数計・活動量計市場は大幅に縮小。理由はスマホの登場で手軽なアプリに役割をとって変わられたためでした。このままではいけないと、佐々木さんは大きな方針転換を決めます。
「これからは、スマホでは測れない専門性の高い機器を独自に作ることが必要だと思いました。そこで2015年に自社ブランド『J-Style+』を立ち上げたんです。今までのノウハウを応用し、大学教授や医師など専門家と連携して医療や介護分野への進出に力を入れています」
 『J-Style+』立ち上げの翌年、佐々木さんは地元・飯田にある健和会病院のリハビリセンター長、福村直毅さんからこんな相談を受けました。
「リハビリ患者さんの歩行を計測できる機器を作れませんか」
 これは難しい相談でした。一般的な歩行計は体の上下運動で計測しますが、リハビリ患者や高齢者はすり足歩行、歩行器使用など動きが不規則なため、計測が困難なのです。そこでアコーズは、上下運動に前後・左右の動きも加えた3軸で動きを計測する歩行計を企画。しかし、新たな技術開発は挑戦と失敗の連続でした。
「最大の難問は、すり足をどう解析して歩数カウントするか。自社の研究所で自分ですり足で歩いてみたりして、何度も試作を繰り返しました。病院のリハビリ室を見に行ってみると、『こういう歩き方をする人もいるのか』という患者さんに出会ったりして、さらに課題が出てくる。ソフトウェアとの連動もなかなかうまくいかず、福村先生と実験を繰り返しました。通常の歩数計の開発期間は3カ月ほどなのですが、この製品の完成までは3年。今までで一番長い道のりでしたね」
 大変だったのが資金面。OEMと違い自社事業ですから、開発費も捻出しなくてはなりません。それを支えてくれたのが、飯田市の新事業創出支援組織『I-Port』の支援でした。 「低金利の『I-Port支援資金』を信用保証協会さんの保証で利用できたのは大きかったですね。それに我々はものづくりの実績はありますが、物を売るノウハウはない。『I-Port』を通じて経営や広報について相談できたのも心強かったです。おかげで協力先の病院を紹介していただいたり、新聞記事に取り上げてもらうこともできました」

「計測」から「改善」へ

「計測」から「改善」へ

無線通信できる活動量計。スマホから手軽にデータを送信し、専用アプリでグラフ化できる

「計測」から「改善」へ

30年、ニッチなものづくりに携わってきた佐々木さん。積み重ねたものを生かし、「人に真似のできないものをこれからも作っていきたい」と話してくれた

 こうして完成した『リハビリ歩行計』は『2018年度飯田市起業家ビジネスコンペディション 新分野チャレンジ部門』で大賞を受賞し、さらに『NAGANOものづくりエクセレンス2019』にも認定されました。ニッチな分野で技術を確立した強みを生かし、アコーズはさらに新しいアイデアを探し続けています。
「今後は計測だけでなく健康改善に役立つものを作りたいと思っています。注目している一つが睡眠の計測。現在、睡眠時無呼吸症候群の治療に役立つ快眠枕の開発を進めています。また子どもの運動量が減っているので、子どもに特化した活動量計も計画中です。今ある技術を使って他の分野に役立てられないか、いつも考えています」

会社データ 株式会社アコーズ
創業 平成4年
事業内容 歩数計・活動量計・通信歩行計開発
住所 〒395-0807 長野県飯田市鼎切石4376-4
電話番号 0265-53-6571
HP https://acos.co.jp
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