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Amor Fati合同会社

アルジャ ダージャン(Dagcan Alca)代表/CEO

大町市・青木湖のほとりに佇む「The Branch」は、エーゲ海沿いの街・イズミルで育ったトルコ出身のアルジャ ダージャンさんが2024年11月にオープンしたカフェ&酒屋です。「Branch(ブランチ)」は“枝”を意味し、オリーブの枝が平和や幸せの象徴である故郷イズミルの文化から「人と人をつなぐ枝になりたい」という思いを込めて名付けられました。日本人や外国人をつなぐ場所として「The Branch」を経営するアルジャ ダージャンさんの想いや夢をご紹介します。

日本との出会いは山小屋の無人100円コーヒー

日本との出会いは山小屋の無人100円コーヒー
日本との出会いは山小屋の無人100円コーヒー

日本に興味を持ったきっかけは、高校時代に訪れた槍ヶ岳の登山で宿泊した山小屋でした。そこには玄関近くに“セルフ式100円コーヒーマシン”が置いてありました。利用者自らがコーヒーを作り、コーヒー代100円を貯金箱のような代金箱に入れて支払う仕組みで、その代金箱には、100円硬貨が山盛りに入っていました。代金箱が盗まれず、ちゃんと利用者が100円を支払っている光景を目の当たりにし、衝撃を受けました。トルコであれば、代金箱が盗まれたり、100円を支払わなかったりするので、あり得ないことです。無人でも信頼で成り立つこのコーヒーマシンに感動して、こういった考え方・文化の国に住みたいと思いました。
その後来日し、上田市の日本語学校で日本語を学び、東京の専門学校で料理を学びました。スキーでよく訪れていた白馬に住んでみたいと思ったので、卒業後は白馬で働き始め、専門学校の同級生とレストランを経営し始めました。そして、海沿いの街で育ったこともあり、水が近くにある環境を求め、青木湖のほとりに移転し、「The Branch」をオープンしました。

手間を惜しまない料理と酒屋としての一面

手間を惜しまない料理と酒屋としての一面
手間を惜しまない料理と酒屋としての一面

看板メニューは本場トルコの「サバサンド」です。サバサンドがトルコ料理であることはあまり知られていないのですが、トルコではストリートフードとして愛されています。現地の味を再現するため、「スマック」という甘酸っぱいスパイスをトルコから仕入れ、赤玉ねぎやハーブにもこだわっています。 他には、プルドバーガーも人気メニューの一つです。長時間煮てホロホロになった豚肉をバンズで挟み、フライドオニオンをかけたボリュームのあるバーガーです。
ベルギー風の厚切りフライドポテトは、外はカリッと中はほくほく、冷えても味が落ちないのが特徴です。3回異なる方法で火入れをするなど作り方もこだわっていて、出来上がるまでに2日かかります。このポテトに自家製のグリーンカレーディップソースを絡めて、味わっていただくのがおすすめです。
さらに酒屋として日本酒も取り扱っています。店内で味わったお酒をそのまま購入でき、外国人観光客にも人気です。甘口や辛口といった味わいだけではなく、どういった酒米を使用して、その酒米のどんな特徴が出ているのかなど、丁寧に説明しています。

季節ごとに変わる店の表情

季節ごとに変わる店の表情
季節ごとに変わる店の表情

夏はカフェとジェラートをメインに、湖水浴帰りにリフレッシュできるお店としていますが、冬はレストランとして夜の営業も行っています。腕の良い料理人がそろっていますので、皆さんに満足していただける最高のディナーをご用意できるように今年の冬に向けて準備しています。
また今年の冬は、パン屋として朝の営業も計画しています。父親がトルコのパン職人なので、作り方を伝授してもらう予定です。トルコのパンを日本の方に味わっていただければと思います。

オリーブの枝を広げて

 オリーブの枝を広げて

様々なグループやコミュニティをつなぐ人になることが自分の夢です。自分自身、色々な言語を話せることもあり、長野県に来てから日本人の友人グループや外国人の友人グループ等、様々なグループやコミュニティに馴染むことができました。「The Branch」は、そういったグループやコミュニティをつなぐ場所になって欲しいと思っています。「The Branch」で提供している食事やお酒を通じて、日本や海外の文化を日本人や外国人に感じて楽しんでもらいたいです。

店舗名 The Branch
所在地 長野県大町市平22651-5
事業内容 カフェ・酒屋
外観
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