地元食材を使ったこだわりのお菓子


父が茅野に移転してから考案した人気商品「天壇」は、信州味噌の赤と白をブレンドし、くるみや信州産のそばの実も練り込んだ、食感も楽しめる甘じょっぱいクッキーです。もう一つ、父の代から続く人気商品「ほん和香」は、口どけの良さが特徴です。和三盆糖と2種類の黒糖を使用しており、口の中に入れたときにほろっと溶ける食感にこだわって作ったお菓子です。 長野県は自然豊かで美味しいものがたくさんあります。父と同様に、僕もそういった長野県産の美味しいものを使って、ケーキや焼き菓子に活かしていきたいと思っています。 ロールケーキは自分なりのオリジナルを作りたいと思って開発し、当社のルーツである和の要素を加え、生地には信州産100%のもち米のみりんを使っています。他にも、松本市産の卵や大町市産の牛乳なども使っています。ロールケーキは中にフルーツが入っているものもあり、季節毎にフルーツを直接農家さんから仕入れています。これも父が築き上げた関係であり、僕もすごく大切にしていきたいと思っています。
夢枕のことばに背中を押されて

僕自身は名古屋で働いており、2025年の4月には戻って父と一緒に働こうと思っていました。それに合わせて準備をしていた矢先、父が2025年2月に突然倒れて亡くなってしまいました。父がいるので戻ってくるという選択をしていたので、やはり戸惑いは大きかったです。父から教わりたかったことが多く、商品も自分では作ったことがない。お菓子作りはレシピがあれば作れるものでもなく、父の味を受け継げるか、父が作るお菓子を求めて来てくださるお客様に失礼になるのではないかと葛藤し、継がないのも選択肢の一つだと思っていました。悩みに悩んでいましたが、そんな時に夢を見ました。厨房で僕が父にお菓子作りを教えてほしいと頼む夢でしたが、父は「違う、そういうことじゃない。お前がやりたいことをやればいいんだ」と言ってくれました。夢枕という言葉もありますが、父がこの言葉を伝えてくれたおかげで、肩の荷が軽くなりました。自分なりの形でお菓子を出すことでいいんじゃないか、と思えるようになり、店を継ぐ覚悟が決まりました。
思い出の味と新しい味


父が亡くなってからは3か月間お店を休業し、その間に、自分とスタッフの中にある記憶の味を思い出しながら何度も試作しました。作ってはスタッフと一緒に食べ、どんな味だったかを話し合いながら完成させていきました。しっかり美味しいと思うものを提供したい。それには半端なものは出せない。今まで培ったものを踏みにじるわけにはいかないので時間が必要でした。 僕自身は焼き菓子とケーキであればケーキの方が得意です。ですので、ケーキは新しいものに挑戦し、ラインナップもやり方も自分なりに変えました。ただ、父は生地作りにこだわっており、僕も美味しいと思っていたので、そういったものは引き継いでいます。
お客様の声が“新しい一歩”へ
再オープンにあたっては、自分のやりたいものをやろうと思ってはいましたが、お客様に受け入れてもらえるか、「前と味違うね」と言われないかやはり不安でした。けれど、お客様は皆さん良い方ばかりで、「お父さんの味はこうだったけどこれは新しい味で、すごく美味しいね」と言っていただけました。受け入れていただけたことが、すごく嬉しかったです。本当に人に恵まれているなと思いました。
■ これからの夢


茅野に移転した当初、父がインタビューで「安心安全」「地産地消」ということを答えていました。福島のときも地元を大事にしていて震災でより一層「地元のものを大切に」といった気持ちが強まったと思います。僕も地元のものをなるべく使うということを一番大切にしています。これからも新しい食材と出会って、それを使った自分なりのお菓子をもっともっと作っていきたい。どんなものができるか、どんなものと出会えるか、それが夢であり楽しみでもあります。
| 店名 | 信州大黒屋 |
|---|---|
| 所在地 | 茅野市塚原2-5-2 |
| 事業内容 | 洋菓子店 |
| 外観 | ![]() |
| 放送動画 |


