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株式会社フラワーフィールド

鈴木 照明 代表取締役

御代田町や軽井沢町に拠点を構える株式会社フラワーフィールドは、「生活の一部に花を」というコンセプトのもと、花屋を中心にカフェ、レストラン、ガーデンショップ、農業生産法人までを展開する会社です。「花のある暮らし」と「花をつくる人たち」が増えていくような世界をつくりたいと語る鈴木照明さんに、事業への想いとこれからの夢を伺いました。

お客さまへの約束 「生活の一部に花を」

お客さまへの約束 「生活の一部に花を」
お客さまへの約束 「生活の一部に花を」

花屋として独立したのは24歳のときです。修業時代から含めると、もう30年以上この世界にいますが、創業以来ずっと守っているのが「冷蔵庫(ストッカー)を使わない」ということです。本来、花は収穫から枯れるまで約1か月の期間があります。でも実際にお客さまの手元では2〜3日でダメになってしまうことも多い。その大部分は、市場流通や花屋の在庫期間のどこかで消えているんですよね。そのため、低温保存はせず仕入れた花は1〜2日で売り切ることを続けています。うちの花が必ず1か月持つ、というわけではありませんが、「フラワーフィールドの花はなんだかよくもつよね」と言っていただけるようにお花を提供することが、お客さまへの約束だと思っていますし、お花を楽しめる時間を長くしてあげられるかが花屋の一番大事な仕事だと思っています。 そしてもう一つ、根幹にあるのが「生活の一部に花を」という考えです。花というとギフトや冠婚葬祭のイメージが強いですが、私はもっと日常的に、野菜や卵を買うような感覚で花を買ってもらえるようにしたい。また、季節感もとても大事にしています。飾った人が「今は何月なんだな」と感じられるような花を揃える。いつも目の前の景色の中に、さりげなく花がある暮らしをどうつくるか。それを考えながら事業を進めてきました。

男性もふらっと立ち寄れる、“ハードルの低い”花屋づくり

男性もふらっと立ち寄れる、“ハードルの低い”花屋づくり
男性もふらっと立ち寄れる、“ハードルの低い”花屋づくり

ショップの特徴として、男性のお客様がふらっと来て、ウィンドウショッピングをするように花を選べる場所にするために「無人のお花屋さん」スペースをつくりました。男性は花屋に入るのを緊張してしまう方も多いので、ひとつひとつスタッフがつくった花束をじっくり見て、レジで精算するだけで買える場所をあえてつくりました。 一方で、「贈る相手のことを考えながら相談して決めたい」というお客様のために、向かい側にはしっかり接客するショップも用意してあります。また、「家に花瓶がないから飾れない」という声も多かったので、初めての方でも手に取りやすい300円〜1,000円くらいの花瓶を何種類も揃えました。オランダからの輸入品やアウトレット品も多いですね。買い方や花を飾るハードルをなくし、よりお花を身近に感じてもらえるようにしています。

花屋を中心に広がる“フィールド”

花屋を中心に広がる“フィールド”
花屋を中心に広がる“フィールド”

社名の「フラワーフィールド」は「お花畑」という意味ではなく、「お花の分野(フィールド)」という意味を込めています。花そのものを売るのはもちろんですが、花を中心に、カフェ、レストラン、家具、造園、農業生産法人といった、暮らしを豊かにする様々な分野へ事業を波及させていきたいと考えています。 たとえば、若い女性がお花屋さんに足を運ぶきっかけとしてカフェがあってもいい。お祝いの花を買ったあと、そのままレストランで食事ができる場所があってもいい。実際、この御代田町のお店では切り花を中心に扱いながら、アフタヌーンティーやディナーを提供するレストランを併設しています。 軽井沢の店舗は少し趣が違います。ガーデニング用品や植木、インテリアなど、「自分のための庭や家を豊かにする」ための専門店です。シーズンには常時4,000本の植木を揃え、花瓶も1個6万円〜10万円といった高価格帯のものまで取り扱っています。自分のためだけにじっくりと木や器を選ぶ、“内側の暮らし”に向き合う場所として設計しました。さらに、ワークショップを行うアトリエ的な店舗もあります。 自社生産にも力を入れています。長野の気候や地域の需要に合った花卉栽培でアジサイを育て始めました。他にもダリアなど季節の花も作っています。レストランで出す米や野菜も自社生産です。花を中心としながら、その周囲にある暮らしの要素を、自分たちのフィールドとして広げてきました。 いずれも別事業ではなく、すべてが「花屋」という一つの大きな枠組みの中にあると考えています。

花に救われた人生だから、花に恩返しをしたい

花に救われた人生だから、花に恩返しをしたい
花に救われた人生だから、花に恩返しをしたい

独立前は、東京でウェディングブーケやメディア向けのフラワーデザインの仕事をしていました。第一線で楽しくやらせてもらっていた一方で、「このまま一生、このやり方でやっていけるだろうか」という不安もありました。正直、「もう通用しなくなるな」と感じたんです。そんなとき、「せっかく花に救われた人生なんだから、花に恩返しできる場所はないだろうか」と考えるようになりました。鎌倉などいくつかの候補地を巡る中で、長野の人たちの温かさに触れ、この土地で暮らしたいと決めました。 開業当初は店舗もなく、トラックの荷台に花を積んで売り歩く行商からのスタートです。軽井沢の皆さんは温かく迎えてくれて、とてもうれしかったことを覚えています。今、創業当初のお客さまのお子さんが、フラワーフィールドで結婚式を挙げてくれるようになりました。あのとき小さかった子が、花に囲まれたこの場所で人生の節目を迎える。その姿を見ると、「花屋を続けてきて本当に良かった」と心から思います。 私自身は、ゼロから美しいものを生み出すような才能はないと思っています。でも「美しく生まれたものを、美しく活かす」ことならできるんじゃないか。花屋という仕事は、そういう意味で私にとってぴったりでした。

ビレッジ構想と、花業界への恩返しという“夢”

ビレッジ構想と、花業界への恩返しという“夢”
ビレッジ構想と、花業界への恩返しという“夢”

フラワーフィールドとして、これから実現したい夢のひとつに「ビレッジ構想」があります。今の事業は、暮らしの中に花を届けるという部分に強くフォーカスしています。ですが、もっと「フィールド」を広げられる余地があると感じています。たとえば、より高い満足を求める方々に向けては、宿泊もできて、美味しい食事とともに花を全身で感じられるオーベルジュのような場所をつくってみたい。一方で、「野に咲いている花を自由に摘んで持ち帰れる」ような、無料の花摘みエリアがあってもいいと思っています。「ここは好きに取っていってください」と言える場所を自分たちで用意する。お金を払わなくても、子どもたちがお花に触れられる機会をつくりたいです。 根っこにあるのは、花業界全体への恩返しの気持ちです。日本のお花の生産者は、後継者不足などで減り続けています。これは、生産者だけの問題ではなくて、私たち販売側が花の魅力をきちんと伝えきれてこなかった結果だと、強い反省があります。「また花を作りたい」と生産者に思ってもらうには、まず広くいろんな方がもっと身近に花と触れ合える環境を整えないといけません。花のある風景が当たり前になって、いろいろな場所で花が活躍している状態をつくる。それができて初めて、生産する人も増えていくのだと思います。花のおかげで今の私があります。その花にどう恩返ししていくか。これからの50年をかけて、ビレッジ構想やさまざまな挑戦を通じて、「花のある暮らし」と「花をつくる人たち」が増えていくような世界をつくる。それが、フラワーフィールドとしての、そして私自身の夢です。

店舗情報 FROWER FIELD Garden`s(フラワーフィールドガーデンズ) 
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町追分一里塚1138-1
店舗情報 KOMORO STREET
所在地:長野県小諸市相生町2丁目2-2
店舗情報 GATE- FLOWER FIELD
所在地:長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1604-3
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