船山 潔代表

　自分がクライミングを始めたのは高校2年生です。その時は、楽しいというというよりも、もっと早く出会いたかったと悔しい気持ちのほうが強かったです。チームスポーツと違い、クライミングは自分との勝負だけです。これは面白い！と思い、一気にのめり込んでいきました。
　クライミングの一番の魅力は、非日常的な風景の中で、非日常的なことをやることだと思います。高い所に登って、まったく社会と離れた場所で、社会と関係のないことをすること自体が、特別感があります。
　地元で生まれ、高校卒業後、国際山岳ガイドの資格を取りたくて、フランス語を学ぶためにフランス留学しました。その当時、フランス人の友達にスペイン・スイス・イギリスなど、いろいろなところにクライミングに連れて行ってもらう中で、クライミングを日本でもっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになりました。いろいろな海外の山も登った上でも、長野県が好きで、長野の自然に魅力を感じているため、当地で開業することにしました。
　県外のお客さまが多いので、自然の中にいる楽しさ、心地よさ、遊び方の選択肢をより多く体験してもらい、長野の魅力を伝えています。佐久穂の有機農家から直接買った食材でバーベキューをしたり、ツアー体験のあとに、温泉にお連れしたり、飲食店や温泉施設等と連携して、来た瞬間から帰るギリギリまで体験してもらっています。地元にはいいものがあるのですが、各々が「点」なんです。それを自然と食文化と地域の伝統を絡めた「線」にしたいなと思って、案内をしています。

　「Gen.」では、おもに登山・クライミング・グランピングを、レベルに合わせて、いろいろな組み合わせを提案しています。
　キャンプやクライミングを始めるに当たっての最初のハードルは何かな、と考えると、道具を揃えることだと思います。たくさんの種類があるので、まったく知らないジャンルを始めるとなったら、選べないのではないでしょうか。そこでそのハードルは一つなくしたいなと思い、自分の経験に基づいて、いいもの、おすすめのものを集めたレンタル品、それも服、靴、ザック、クライミングのハーネス、テント、調理器具まで、すべてを用意していますので、身一つで来ていただけます。
　いろいろ体験できる中でも、特にクライミングにこだわっています。マイナースポーツといわれていますが、自分がもし小学校の頃にこのクライミングに出会っていたら、違う人生があって、違う遊び方ができていたと思うんです。お父さんお母さんがクライミングを知っていると知らないのでは、お子さんのできる経験も変わってきてしまうし、絶対こんなことできないと思われることを、やればできるんだと言える、そんなきっかけを作りたいと思って、一番熱意をもってやっています。
　以前住んでいたフランスでは、アウトドアの距離感が日本とは違っていて、当たり前のように授業でクライミングがありました。もっと多くの人にクライミングを知ってもらうきっかけを作りたいなと思い、自分の好きなスポーツを組み合わせていったら、今の形になりました。

　これからの夢は、子供に無料でクライミングを教える日を作ろうと思っています。今の小学生は、岩に触れたことがない子供がすごく多いので、自分の経験を活かしつつ、外で遊ぶ楽しさを伝えていこうと思います。
　また、クライミングだけでなく、自分が今関わっているスポーツ、スノーボード、サーフィン、スケートボードなど、マイナースポーツでちょっと始めることに一歩勇気がいるものを、子供に無料で教えるということも目標としています。
　子供に経験してもらって、選択肢を広げて、その子の引き出しの一つになれれば、と思っています。その引き出しを使うか使わないかは、大きくなってから自分で決めればいいことですから。小学生という一番遊べる時間が多い中で、きっかけがないと絶対にできない遊びを、無償でできるようになりたい、と思います。