148

株式会社春月

本田 達史代表取締役

長野県飯田市で105年続く煮豆の製造会社・春月。大正10年創業の老舗会社で受け継がれてきた「おたふく豆」。お客さまの笑顔を大切にしたいと語る、本田達史さんの思いや夢をご紹介します。

祖母が炊いた小さな鍋から始まった物語

祖母が炊いた小さな鍋から始まった物語

当社は、現在は主に煮豆の製造を手掛けていますが、祖父が創業した当初は料理屋でした。その後、旅館を始めたのですが、祖母が泊っていただいたお客さまに、お茶菓子として小さな鍋で炊いた「おたふく豆」をお出ししていたのが今に至る原点になります。その頃はまだ販売はしていなかったのですが、昭和40年代に私の父が代表になってから「お土産としてどうにか持ち帰れないか」というお話を数多くいただきました。それから父がパッケージを作り、少しずつですが、お客さまに買っていただくようになりました。

他社では真似できない「継ぎ足しの蜜」

他社では真似できない「継ぎ足しの蜜」

当社の主力商品である「おたふく豆」は余計なものは使っていません。砂糖と水だけで作っていますので、お客さまに安心して食べていただけます。また、材料がシンプルなので、余計な甘みや雑味がでないのがよかったと思っています。砂糖と水から作られる蜜は、祖母が作っていた時代から継ぎ足しながら作っています。蜜自体に豆の旨味がしみ込んでいますので、他社には真似できないものになっています。一昨年から「おたふくみつ豆」という商品を作り始め、そこで初めて蜜自体を外に出すようになりましたが、それ以外は一切出したことはありません。大げさに言えば門外不出になりますけれども、そこが一番のポイントですね。

時間と手間をかけた職人の仕事

時間と手間をかけた職人の仕事
時間と手間をかけた職人の仕事

「おたふく豆」には乾燥したそら豆を使いますが、水に浸して炊けるようになるまでに、夏は3~4日、冬は1週間程度かかります。そこから水で炊く作業になりますが、新しい豆と1年経った豆では水分量が全く違います。加えて、気温差や水温差でも変わってきますので、炊き上げにかかる時間はその時の条件で変わってきます。このようにまずは水で炊いて柔らかくして、その次に蜜で炊きます。ですので、商品になるまでは夏場でも最低1週間、冬場では8~9日ぐらいはかかります。
そら豆はペルー産を使っています。国産はもちろんいいんですが、どうしても粒が小さくなってしまいます。一方、ペルー産は粒の大きさ、肉の厚さ、全てが大きく厚くて、そら豆としての旨味がしっかりあるので、最適です。また、製造においては欠けた豆や皮が破れた豆が混じらないように、手作業できれいな豆だけを選別しています。お客さまが商品を開けた際に、大きい豆をご覧になって喜んでいただけるように作っています。お客さまから「こんな大きなお豆は見たことない」というお声をいただくのですが、やはり豆ですと、小豆等の小さいものを想像される方が多いと思います。そら豆がこんなに大きいということは、なかなか知らないお客さまも多いので、そうやって言っていただけると、私たちも嬉しいです。
製造においては自動化も考えたことはありますが、一粒ずつ判別するような細かい作業は機械では難しいですし、柔らかく炊いているので機械がどの程度つかめるかという問題もあります。ですので、人海戦術で作業をしています。

代が変わっても変わらない味とお客さまの笑顔

代が変わっても変わらない味とお客さまの笑顔

私が代表になったのは36歳の時でしたが、父が倒れたことで急遽代表になりました。幸い父の病気は快復し、会長として会社にも残ったので、経営に対してそれほど心配はありませんでした。ただ、やはり祖母と父が築き上げた味と意思を継いで、しっかりやっていかなきゃいけないと思いました。 経営を行うにあたって、一番大切にしているのはお客さまの笑顔です。人って、おいしいものを食べると必ず笑うんですよ。それを私たちが作っている「おたふく豆」で実現できたらと思っています。大きな豆にまず驚いてもらい、食べてみたら「こんなにおいしいんだ」と言ってもらえる、そういう商品を作りたいです。私が入社したときは工場の製造現場からスタートしましたが、当時も今もこの思いは守りつづけています。お客さまに「あんなに大きなお豆、びっくりしたし、美味しくて、添加物が入っていないから安心して食べられる」と言っていただけたことが一番嬉しかったです。そして、代が変わっても「味が変わった」と言われなかったことが嬉しかったし、安心しました。

伝統を守りながら、時代に寄り添う

伝統を守りながら、時代に寄り添う

味の部分に関しては、お客さまに受け入れてもらえているので、大元を変える必要はないかと思っています。ただ、時代によって甘さの調整など、そういった部分は多少変えていかなきゃいけないのかなとも思っています。やはり作っている側が「これじゃないとダメだ」と自分勝手になってしまいますと、お客さまに受け入れてもらえないと思います。基本的な味は一切変えないようにしつつ、お客さまのご意見を伺いながら、多少の調整をしていければ。祖母の代から砂糖と水だけで作っていますが、一般家庭でできるかというとなかなか難しいです。それが私たちの仕事ですので、受け継いできたものをしっかりと守って、いい商品を作っていきたいと思っています。
現在は大家族というものが少なくなりましたので、少しでも多くの方に食べていただけるように、最近は小さいパッケージも販売し始めました。どうしても大手さんと違って手間がかかっているため、お値段的には少し高くなってしまいますが、より多くの方に食べていただいて、笑顔になっていただくということは、これからも取り組んでいきたいと思っています。

これからの夢

これからの夢
これからの夢

やはりお客さまの笑顔を大切にして、喜んでもらえるようにしたいです。メールの注文に関しては私が全て対応していますし、電話の応対も行い、担当者としてお客さまと直接やりとりをしています。その際、やりとりの最後に「お客さまの笑顔を大事に精進してまいります」という言葉を付け加えさせてもらっています。お客さまの笑顔と感謝。そこだけは忘れないようにして、多くのお客さまに少しずつでも食べていただけるようにしていきたいなと思っています。また、お客さまの声をしっかりきいて、商品作りに活かしていきたいです。うちの商品を食べて笑顔になっていただくと、本当に嬉しいですし、そういうお客さまからの言葉が、私のパワーの源にもなっています。

社名 株式会社春月
住所 〒395-0155 長野県飯田市三日市場221-1
電話番号 090-8943-3294
Webサイト https://www.syungetsu.co.jp
事業内容 食料品製造業
外観
動画